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竹中平蔵氏の「正社員をなくしましょう」はどんな流れで発せられたか?(文字起こし)
2015年01月06日 18時10分

「正社員をなくしましょう」――。慶應義塾大学教授で、人材派遣のパソナグループ取締役会長をつとめる竹中平蔵氏が、テレビの討論番組でこのように発言したと、ネットメディアが報じ、大きな反響を呼んでいる。

問題の発言は、1月1日未明に放送されたテレビ朝日「朝まで生テレビ」で、非正規社員の待遇がテーマになったときに飛び出したとされる。翌1月2日、ライブドアのトピックスニュースが、その模様を紹介する記事を掲載。<竹中平蔵氏が非正規雇用について熱弁「正社員をなくしましょう」>という見出しをつけた。さらに1月4日には、ハフィントンポストが<竹中平蔵氏の「正社員をなくせばいい」発言に賛否>と報じた。

「正社員をなくしましょう」――。慶應義塾大学教授で、人材派遣のパソナグループ取締役会長をつとめる竹中平蔵氏が、テレビの討論番組でこのように発言したと、ネットメディアが報じ、大きな反響を呼んでいる。

問題の発言は、1月1日未明に放送されたテレビ朝日「朝まで生テレビ」で、非正規社員の待遇がテーマになったときに飛び出したとされる。翌1月2日、ライブドアのトピックスニュースが、その模様を紹介する記事を掲載。<竹中平蔵氏が非正規雇用について熱弁「正社員をなくしましょう」>という見出しをつけた。さらに1月4日には、ハフィントンポストが<竹中平蔵氏の「正社員をなくせばいい」発言に賛否>と報じた。

●ニュース記事の見出しと「問題発言」は微妙に違っていた

そのようなニュース報道を受け、ネットでは「相変わらずぶっとんでるな」「ふざけるな!」「竹中さんだから叩かれるけど、言ってることは正論だよ」などと、賛否両論の意見が沸き起こった。ライブドアの記事は、はてなブックマーク数が180以上、ツイート数が4000近くにのぼるなど、反響が広がっている(6日午後6時現在)。

これだけ関心を集めた竹中氏の「正社員をなくしましょう」発言は、どのような文脈で発せられたのだろうか。そんな疑問から「朝生」の問題のシーンを録画で確認してみると・・・たしかに、竹中氏は「正社員をなくしましょう」という言葉を口にしているのだが、その前後の言葉も聞くと、ニュース記事の見出しから受ける印象とは、少しニュアンスが違っているようだった。

竹中氏の発言を正確に再現すると、次のようになる。

「同一労働・同一賃金と言うんだったら、『正社員をなくしましょう』って、やっぱり、あなた、言わなきゃいけない」

この「あなた」というのは、それまでの議論の流れやテレビに映ったアングルから見て、民主党の辻元清美衆院議員だと考えられる。つまり、竹中氏は、討論のなかで「同一労働・同一賃金」を求める意見を表明していた辻元議員らに対して、「同一労働・同一賃金」と言うのであれば「正社員をなくしましょう」と言わなければならないですよ、と問いかけていたのだ。

では、なぜ「同一労働・同一賃金」と言うと「正社員をなくしましょう」と言わなければいけなくなるのか。竹中氏のロジックはどのようなものなのか。それを理解するには、問題発言の前後をもっとくわしくみる必要があるだろう。

というわけで、問題のシーンの前後の発言を文字起こしして、以下に紹介する。

●「正社員をなくしましょう」前後の竹中氏の発言

竹中平蔵氏(以下、竹中):みんな多様な働き方をしたいんです。いろんなアンケート調査があって、アンケート調査にバラつきがあるんですけれども、たとえば協会がやったアンケート調査によると、派遣でやっている人の7割は「当面派遣でやりたい」と言っています。厚労省が派遣についてやった調査では、「正社員に変わりたい」という人と「今の非正規のままのほうがいい」という人を比べると、実は「非正規」と答える人が多いんです。数字はね。

多様な働き方があるから、派遣でいるのが「なんか悪い」とか「かわいそうだ」とか、その前提はやっぱり捨ててほしい。それはケース・バイ・ケースだということ。正社員で雇われたい人もいますよ。でも、そうじゃない人も多いんだということをまず大前提にしてほしい。そしてもう一つ・・・。

田原総一朗氏(ジャーナリスト:以下、田原):本当かなぁ、それ。

竹中:本当なんですよ。田原さん、もう一つ大事なことがある。どうして派遣が増えたかというと、簡単なんですよ。日本の正規労働は世界の中で見て、異常に保護されているからなんですよ。

森永卓郎氏(経済アナリスト:以下、森永):それは違います。

竹中:1979年の東京高裁の判例で解雇の4要件が示された。要するに、同一労働・同一賃金と言うんだったら、「正社員をなくしましょう」って、やっぱり、あなた、言わなきゃいけない(編集部注:このとき竹中氏は、辻元氏のほうを見ていた)。全員を正社員にしようとしたから、大変なことになったんですよ。

田原:竹中さんの言った4要件はこれですよ(注:フリップを取り出す)。4要件というのは、人員削減の必要性。解雇回避の努力。人選の合理性。解雇手続の妥当性。4つないといけない。

竹中:実はそれが判例なので、非常に不明確だというところに問題があるんです。だから、大企業のように、訴訟リスク・・・これやると訴訟をされると思うところは、なかなか解雇できない。

田原:そして本当に(訴訟に)負ける。

竹中:そうです。一方で、「うちなんかは訴訟されるわけがない」と思っている中小企業は、平気で正社員といえども解雇しているんですよ。だからそのルールをきちんと・・・。

森永:竹中さんの言っている事実認識がすごく違うのは、実はOECDが雇用者保護の厳格性を綿密に調査して比較しているんですよ。さっき竹中さんがオランダモデルにしろと言ったんですけど、正社員の雇用保護の厳格性は、日本よりもオランダのほうが圧倒的に高いんですよ。つまり、ものすごく厳しいんですよ。解雇には、地方労働委員会の許可が必要なのですよ。ほとんど認められない・・。

竹中:日本の場合、中小企業にそれが適用されていないからなんですよ。だから、厳しいルールも必要なんです。ただ、今はルールが明確ではないということが重要なんです。それを明確化しようと言ったら、「解雇自由化」という議論に歪められるんですよ。

(弁護士ドットコムニュース)

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