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女子小学生に大人気の「アイカツ!」 カードを盗んだ小学生に「責任」を問えるか?
2013年09月25日 14時50分

いま女子小学生のあいだで、「アイカツ!」というゲームがブームになっている。プレイヤーは、アイドル養成学校の生徒になり、NO.1アイドルを目指す。つまり、「アイドル活動」を疑似体験するカードゲームだ。400種類近いカードを組み合わせ、多様なファッションコーディネートを楽しめる点が、女児の心を鷲づかみにしている。

日経トレンディによると、ゲーム用カードの今年度の出荷枚数は5000万枚を見込むという大ヒット商品だ。カードは1プレイ(100円)ごとに1枚もらえる仕組みだが、好きなカードが手に入るとは限らないため、プレイヤー同士でのカード交換も盛んに行われている。特定の人気カードは「市場価格」で1枚数千円にも及ぶものがあるようだ。

そのような背景もあり、ネット上には「カードを別の子に盗まれた」という書き込みがちらほらある。8月中旬には、アイカツ好きな「おじさん」が、小学3年生の女子5人にカードを盗られたとツイッターで報告し、話題になった。ブームが高じて、小学生の窃盗騒ぎも起きているのだ。

もしこのように、小学生が「アイカツ!」のカードを盗んだとしたら、本人の法的責任はどうなるのだろうか。また、その小学生の親の責任はどうなのか。刑事事件にくわしい南川学弁護士に聞いた。

●14歳未満は「刑事責任がない」と定められている

「人のカードを盗む行為の法的責任は、大きく分けて刑事責任と民事責任が考えられます」

このように整理したうえで、南川弁護士は次のように説明する。

「まず刑事責任については、他人のカードを盗む行為は窃盗罪(刑法235条)にあたります。しかし日本では、14歳未満は刑事責任がないと定められていますので、小学生の場合は罪に問われることはありません。

ただし、補導の対象となったり、警察による調査などが行われたりすることが考えられ、悪質な場合には家庭裁判所で処分を受けることもあります」

では、民事責任はどうだろうか。

「民事責任については、他人の物を盗む行為は不法行為として、その損害を賠償する責任を負うのが原則です。しかし未成年の場合、自分の行為の責任を弁識できる程度の知能を備えてなかったときは、本人が賠償責任を負いません(民法712条)」

●民事責任を負うかどうかの境目は「12歳ぐらい」

刑事責任のように、民事の賠償責任を負うかどうかの境目となる年齢はあるのだろうか。

「そうした知能を備えていたかどうかは、行為の種類や成育度合などを考慮して判断するので、一律に何歳になれば民事上の賠償義務を負うとは言えません。ただ、これまでの裁判例によれば、おおむね12歳、つまり小学校修了程度の知能があれば民事責任を負うとされている例が多いと言えます」

たとえば、カードを盗んだのが小学3年生だとしたら、「本人は賠償責任を負わないとされる可能性が高いでしょう」ということだ。では、そのような場合、親の責任はどうなるのか。

「その場合、小学生の親は基本的に、子どもに代わって損害を賠償する民事上の責任を負います(民法714条)。子への監督を怠っていなかったと認められて親も免責になることもありますが、そのような免責が認められることは滅多にありません。親は、盗んだカードの時価相当額を被害者に支払う義務を負うことになります」

子どもに法的な責任はなくても、親には賠償責任が生じるというわけだ。ブームが起きると暴走する者が出てきがちだが、子どもたちには、親を巻き込んだ裁判沙汰にならないように、楽しく遊んでもらいたい。

(弁護士ドットコムニュース)

いま女子小学生のあいだで、「アイカツ!」というゲームがブームになっている。プレイヤーは、アイドル養成学校の生徒になり、NO.1アイドルを目指す。つまり、「アイドル活動」を疑似体験するカードゲームだ。400種類近いカードを組み合わせ、多様なファッションコーディネートを楽しめる点が、女児の心を鷲づかみにしている。

日経トレンディによると、ゲーム用カードの今年度の出荷枚数は5000万枚を見込むという大ヒット商品だ。カードは1プレイ(100円)ごとに1枚もらえる仕組みだが、好きなカードが手に入るとは限らないため、プレイヤー同士でのカード交換も盛んに行われている。特定の人気カードは「市場価格」で1枚数千円にも及ぶものがあるようだ。

そのような背景もあり、ネット上には「カードを別の子に盗まれた」という書き込みがちらほらある。8月中旬には、アイカツ好きな「おじさん」が、小学3年生の女子5人にカードを盗られたとツイッターで報告し、話題になった。ブームが高じて、小学生の窃盗騒ぎも起きているのだ。

もしこのように、小学生が「アイカツ!」のカードを盗んだとしたら、本人の法的責任はどうなるのだろうか。また、その小学生の親の責任はどうなのか。刑事事件にくわしい南川学弁護士に聞いた。

●14歳未満は「刑事責任がない」と定められている

「人のカードを盗む行為の法的責任は、大きく分けて刑事責任と民事責任が考えられます」

このように整理したうえで、南川弁護士は次のように説明する。

「まず刑事責任については、他人のカードを盗む行為は窃盗罪(刑法235条)にあたります。しかし日本では、14歳未満は刑事責任がないと定められていますので、小学生の場合は罪に問われることはありません。

ただし、補導の対象となったり、警察による調査などが行われたりすることが考えられ、悪質な場合には家庭裁判所で処分を受けることもあります」

では、民事責任はどうだろうか。

「民事責任については、他人の物を盗む行為は不法行為として、その損害を賠償する責任を負うのが原則です。しかし未成年の場合、自分の行為の責任を弁識できる程度の知能を備えてなかったときは、本人が賠償責任を負いません(民法712条)」

●民事責任を負うかどうかの境目は「12歳ぐらい」

刑事責任のように、民事の賠償責任を負うかどうかの境目となる年齢はあるのだろうか。

「そうした知能を備えていたかどうかは、行為の種類や成育度合などを考慮して判断するので、一律に何歳になれば民事上の賠償義務を負うとは言えません。ただ、これまでの裁判例によれば、おおむね12歳、つまり小学校修了程度の知能があれば民事責任を負うとされている例が多いと言えます」

たとえば、カードを盗んだのが小学3年生だとしたら、「本人は賠償責任を負わないとされる可能性が高いでしょう」ということだ。では、そのような場合、親の責任はどうなるのか。

「その場合、小学生の親は基本的に、子どもに代わって損害を賠償する民事上の責任を負います(民法714条)。子への監督を怠っていなかったと認められて親も免責になることもありますが、そのような免責が認められることは滅多にありません。親は、盗んだカードの時価相当額を被害者に支払う義務を負うことになります」

子どもに法的な責任はなくても、親には賠償責任が生じるというわけだ。ブームが起きると暴走する者が出てきがちだが、子どもたちには、親を巻き込んだ裁判沙汰にならないように、楽しく遊んでもらいたい。

(弁護士ドットコムニュース)

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