川崎市のご当地アイドルグループ「川崎純情小町☆」のメンバー、浅井雅さんが痴漢の容疑者を取り押さえ、話題になっている。

報道によると、浅井さんは6月29日夜、小田急線の急行列車内で、友人の少女（17）に男が下半身を押し当てているのに気づいて、男に注意した。さらに、同線登戸駅に着いた際に「降りてもらいます」と、この男の手首をつかんで下車させて、駅員に引き渡したという。男は東京都迷惑防止条例違反（痴漢）の疑いで現行犯逮捕された。

今回はご当地アイドルが痴漢を取り押さえたということで話題になったが、痴漢をめぐる騒動はいつも、どこかで起きている。もし電車の中などで痴漢被害に遭遇したり、目撃したら、どう対応するのがいいのか。また、そもそも一般人が痴漢を取り押さえることに問題はないのだろうか。冨本和男弁護士に聞いた。

●一般人でも「現行犯逮捕」はできる

「自分が痴漢被害を受けた場合ですが、触れた程度で痴漢かどうか確証が持てなければ、まずは相手に『止めてください』と注意するのが無難です。

逆に、相手が下着の中に手を入れてくるなど、痴漢行為が明らかな場合には、多少強引な手段でやめさせても許容されるでしょう。周りに人がいて、いざとなったら助けてくれそうという状況が前提ですが、相手の足を踏んづけてもいいかと思います。正当防衛の範囲内でしょう」

――目撃した場合は？

「痴漢行為を目撃した場合は、すぐに痴漢をしている相手に注意しましょう。

ただし、もし可能なら、携帯のカメラなどで証拠を残したり、近くにいる数人と痴漢行為が行われていることを確認した上で、注意するのが望ましいと言えます。

なぜなら、痴漢は『言い逃れ』をしようとする場合が非常に多いからです。証拠や証人を残す工夫ができれば、より良いということですね」

――そもそも一般人が取り押さえることに問題はない？

「一般的には、不法に人を取り押さえれば、逮捕罪という犯罪が成立します。しかし、現に犯罪を行った人や、犯罪を行い終わって間がない人に対しては、一般人でも『現行犯逮捕』をすることができます。現行犯逮捕ができるのは、警察官だけでないのです」

――取り押さえるときには、どんな手段を使ってもいいのか？

「いえ、やり過ぎはいけません。逮捕するために他人の家に侵入したり、相手に怪我を負わせたりすることまでは許されません。やり過ぎれば逆に、自分が警察から逮捕される可能性もありますので、落ち着いて対処する必要があります」

（弁護士ドットコムニュース）