犯罪・刑事事件の解決事例
#建物明け渡し・立ち退き

定期建物賃貸借契約を理由に立ち退きを迫られたが、定期賃貸借契約の成立が否定され、賃貸人が立退料を支払うとの和解が成立した事例

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鈴木 祥平 弁護士が解決
所属事務所みずがき綜合法律事務所
所在地東京都 新宿区

この事例の依頼主

60代 男性

相談前の状況

相談者の方は、自らが居住する賃貸マンションを借りる際、仲介業者から、契約期間が満了しても契約更新をするとの説明を受けて、3年間の「定期借家契約」を締結しました(定期借家契約というのは、更新がなく、3年間が経過すると出て行かなければならないと言う契約です。)。しかし、実際には、一度も「契約更新」されることなく、2年半が経過した頃に、管理会社からマンションを解体して、新しいマンションを建築する予定なので「再契約」をしませんという通知が送られてきました。相談者の方は、自ら管理会社と交渉して、立退料をしはらってもらうように要求しましたが、管理会社側(賃貸人側)は、「定期借家契約」だから立退料の支払には応じられないと回答されて、契約期間が満了する直前に当職のところに相談にお越しになられました。

解決への流れ

当職が、契約をした際の契約書類を検討をさせて頂いたところ、契約書には確かにタイトルとしては、「定期借家契約」と記載されていましたが、他の書類を見てみたところ、借地借家法で規定する定期建物賃貸借の成立要件を欠いていました。当事務所では、相手方に対し、当職が本件の代理人になる旨の受任の挨拶をすると同時に、本件では、定期建物賃貸借は成立せず、契約期間が満了しても賃貸借契約が更新されるので引き続き住み続ける旨の通知を出しました。賃貸人側は、契約が更新されるという当職の通知内容が不服であるとして、東京地方裁判所に建物明渡請求訴訟を提起してきました。その訴訟の中では、「定期借家契約」の成否が争われましたが、最終的には、定期借家契約の成立の主張・立証は困難であること、そして、紛争が長期化すると新しいマンションの建築が遅れが生じてしまうことから、定期建物賃貸借が成立しないことを前提として、多額の立退料を支払ってもらうことで裁判上の和解が成立しました。

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鈴木 祥平 弁護士からのコメント

最近は、定期借家契約という契約方式を取る業者が増えているようです。定期借家契約は、一定の期間が経過すると更新がなく出て行かなければならなくなってしまう契約であり、契約の成立要件も厳しく規制がされております。定期借家契約と言う契約書のタイトルが記載されているからといって、あきらめずにまずは弁護士に相談をすることをお勧めします。