この事例の依頼主
50代 男性
総債務額:200万円ほど債権者数:3社ほど業態:警備員私は現在警備会社に勤めていて、主に道路工事の警備を担当しています。最近は残業できなくなってしまって収入も減ってきましたので転職も考えているほどです。借金の額はそれほど高額ではないと思うのですが、今の収入ですと、借金返済に回すお金がほとんどありません。転職して収入の良い会社に移れればいいのですが、私の年齢からすると高額な収入の会社に転職することはできないと考えています。そのため、破産をして借金を整理したいと考えているのですが、破産する際には警備員は予め辞めていなければいけないのかが分かりませんでしたので、今後の進め方について相談させてください。私は未婚で、身内としては地方に住んでいる高齢の母が一人いるだけです。母には絶対に心配をかけたくないと思っていますので、母に黙って手続きを進めることはできるでしょうか。
これまでは、借金の返済を気にしながら生活していたのですが、秦弁護士にお願いした後は、借金の返済を一旦ストップさせましたので、返済の不安がなくなりました。特に私自身で警備業を行っているわけではありませんでしたので、警備の仕事は続けながら破産の手続きを取ることが出来ました。最初は転職も覚悟していたのですが、腐れ縁と言いますか私は警備一筋で仕事をしてきましたので、これも縁だと思って定年まで警備の仕事を続けようと考えています。破産手続きを取ったということは、地方の母には知られないということなので安心して手続きを進めることが出来ました。私は預金をたくさん持っていましたので、その整理が大変で時間がかかってしまいましたが、問題となりそうなところは事前にしっかりと準備できたとのことでした。最終的には、手続きとして少額管財になってしまいましたが、無事に借金の整理をすることが出来ました。
破産手続きを取ると、一定の仕事の制限があります。身近なところですと、生命保険の外交員や証券外務員、警備員や知人の会社の取締役といったものがこれに該当します。このような仕事の制限は、破産手続きの申し立てをして、破産手続きが決着するまでの期間(通常は2,3か月程度)、その仕事に就くことが出来ないというものですから、警備業をしている方については仕事辞めなくてはいけないのかということで重要な問題かと思います。ただ、警備業と言いましても、警備会社に勤めている方は当然に仕事ができなくなるということではありません。自身で警備会社を経営しているとか、会社から委託を受けて警備業を行っている方(要するに自営業として警備業を行っている方)が対象で、基本的に勤めている方は対象外になります。ただ、ここで気を付けなければいけませんのは、警備会社に入社する際には、通常誓約書を書くことが多いのですが、その誓約書の中には、「破産手続きを取った際には、勤め先にそのことを自主申告しなければならない」といった定めを置いていることが多いです。そのため、破産手続きの申請をしているのに、そのことを勤め先に告げないということは本来誓約義務違反になります。今回、この点を破産管財人に相談しましたが、破産管財人から勤め先に通知等を行う予定はないということでしたので、警備職を続けることが可能でした。正直に言いますと、ご依頼者様の年齢を考えますと、転職のハードルは高いと感じていましたので、警備の仕事を続けられて安心しました。このように今回は理解のある破産管財人がついてくれたからよかったのですが、場合によっては警備職を続けられなくなるというケースも考えられますので、どうしても、警備員の仕事を続けなくてはいけないというときには破産ではなく個人再生の手続きを敢えて選ぶこともあります。また、高齢のお母さまに知られたくないとの点につきましても、同居なさっていない方への通知等は私の方ではしていませんので、お話しなさるかどうかはご依頼者様の判断に任せています。破産すると、破産したことが戸籍に載ってしまうと誤解なさっている方もいますが、そのようなことはありませんので、一般の方が破産のことを知るケースはかなり少ないと思われます。