この事例の依頼主
70代 女性
相談前の状況
進行がんで療養中のご相談者Aさんは、ご自身がお亡くなりになった後の相続を気にされていました。詳しくお話を伺うと、長年にわたって同居して面倒を見てくれたご長男に対し、自宅などの主要な遺産を相続させたいとお考えでした。
解決への流れ
Aさんの希望を確実に実現するため、公正証書で遺言を作成することにしました。Aさんの希望をもとにした原案を公証人に伝え、遺言書の中身を練り上げました。あわせて、公証人にはAさん入院する病院への出張をお願いするとともに、病院にはプライバシー確保のため扉のついた談話室の使用を許可していただきました。このような準備を経て、梅雨のある日、無事に公正証書が出来上がりました。安心した表情をされながらも、「あとはよろしくお願いします」と頭を下げられたAさんを前に、身が引き締まる思いがしたことを覚えています。Aさんは、数か月後の秋にお亡くなりになりました。Aさんの遺言の中で遺言執行者に指名されていた私は、法律に則って執行事務を進め、滞りなく遺言の内容を実現するに至りました。
遺言書はいざ作ろうとすると手が進まなくなる場合もあると思います。また、内容や形式があやふやな遺言書では、かえって親族間紛争の火種になります。遺言書を作ろうかどうか考えていらっしゃる方は、一度、弁護士に相談されることをお勧めします。