この事例の依頼主
30代 女性
道路上で自転車に乗っていたところを道路外から出て来た四輪車に側面から衝突され、転倒・負傷した方からの相談でした。しばらくはご自身で相手の保険会社との交渉を行っており、治療を継続していました。しかし治療を続けても症状は完治せず、腰痛、両膝痛、右足痛、右肘痛といった症状が残ったため、後遺障害に該当するのではないかと考え、まずはご自身で相手の自賠責保険会社に対して後遺障害等級の認定申請を行いました。【注】ここで1~14級までの後遺障害等級に該当されると判断されれば、認定された後遺障害の等級(重さのランク)に応じた賠償金を請求できるようになります。しかし、何らの等級にも該当しない「非該当」という判断が出されることも少なくありません。相談者の場合も、残念ながら最初の申請では「非該当」の判断が下され、症状が残存しているにもかかわらず、後遺障害についての賠償は一切受けられないという状況でした。
後遺障害等級の認定結果に対しては、「異議申立て」という再度の審査を請求する制度があります。ただ「異議があるので再度判断して欲しい」というだけでも再審査は行われますが、認定結果を変更させるためには、新たな証拠資料を提出できるかがポイントとなります。何ら新規資料が無いままでは、従前の認定理由が明らかに資料の読み違えや見落としをしているような場合でない限り、認定結果を変更させることはかなり難しいと思われます。新規資料の獲得のため、ご依頼をいただいてすぐに相談者の通院先病院から診療録(カルテ)の取得手続を行いました。診療録(カルテ)には、診断書には記載のない情報(患者の発言内容や医師の診察時の考え等)が記載されており、有益な情報を得られることが少なくありません。診療録等を新規資料として異議申立てを行ったところ、当方の申立理由が認められ、非該当であったものが14級9号(局部に神経症状を残すもの)に変更となりました。
一度「非該当」と判断されてしまった場合であっても、非該当の判断理由を分析した上で新たな資料の提出とともに異議申立てをすることにより、何らかの等級への判断変更がなされる可能性があります。どのような資料を新たに集める必要があるか、異議申立ての理由を記載する書面はどのように書けば良いかは、なかなかご自身では判断・作成が困難な点と思われます。本件では、非該当の判断に対してそのまま諦めることなく弁護士委任をしたことで、より望ましい結果が得られました。