この事例の依頼主
70代 男性
相談前の状況
元々地方ご出身の4人の男兄弟の間で起きてしまった相続の争いで、東京で生活されていたご長男から受けたご依頼でした。4人兄弟のうち3人は地方から離れて生活をされて久しく、1人(一番下の四男)だけがそのまま地方(ご両親の近く)で生活されていました。そのような中、ご両親とも(別々の時期に)亡くなったところ、四男の方が、ご両親の遺産を管理され、遺産のうち預金の一部を兄弟に分配されたのですが、不動産など他の遺産について情報を明らかにしてもらえないなどとして、ご長男から相談を受け、ご依頼を受けました。
解決への流れ
依頼者も性格的にとても穏やかな方で、うやむやにされるのが嫌なだけで、元々激しく争いたいわけではないというご希望をお持ちでした。依頼者を申立人として、他のご兄弟3人を相手方とする遺産分割調停を申し立てました。調停内で、依頼者のご希望も伝えながら、どのような遺産があるかを正確に(管理されていた四男の方に)開示して頂き、分配すべき預金の残額(1人について180万円)を確定してお支払頂き、ご両親が住まわれていた土地建物については、当事者全員が納得する形で、お母さんの3回忌が終るまではそのままにし、その後売りに出すという方向で調停を成立させました。
遺産分割の事件では、相続人のうち一部の方が遺産を管理されていて、遺産の範囲が当事者全員に明らかになっていない場合があります、このような場合にはまず、どのような遺産があるかを明らかにした上で、当事者が公平に分割できるよう話し合いを進めることになります。この事件では、(依頼者が穏やかな性格であったこともあり)遺産の範囲を明らかにしてもらった後は、それほどもめることもなく、申立から半年ちょっとで調停が成立しましたが、遺産分割調停としては比較的スムーズに解決した一事例としてご紹介します。なお、この事件では、相手方のうち四男の方は地方にお住まいで、かなり遠方でしたが、他のご兄弟は関東近県にお住まいでした。遺産分割調停の裁判所は原則、相手方の住所の裁判所となりますので、ご兄弟のうちの一人の住所があった千葉家庭裁判所に申し立てました。